科目・生徒の特徴
- 科目:フルート
- 年代/性別:中学生・男子
- 楽器を始めた時期:中学入学後、初めてフルートを始める
当教室に通い始めたきっかけ
中学校に入学し、入部した吹奏楽部でフルートを始めて半年ほど過ぎた頃、あまり上手くフルートの音が鳴らせていない状況を心配したお母さんがウェブサイトで検索し、当教室を訪ねてきてくださったのが最初の出会いでした。無料の体験レッスンで、音が上手く出るポイントをお伝えしたり、改善した方が良い癖をお伝えしたり、私の音を聴いてもらったところ、本人が「レッスンに通ってみたい」と控え目ではありましたが答えてくれ、その場で入会が決まりました。
小学校の頃はスポーツ大好き、クラブでは陸上をやっていたけれど、小学生の終わりごろに「音楽の楽しさに目覚めた」と感じる機会があったのこと…お母さんは、そんな息子さんの気持ちを大切にされていました。
悩み・課題
いざ吹奏楽部に入部したもののコロナ禍で、本来経験するはずだったコンサートは中止続き…
普段の部活もまともに活動できないような状況も続き、おそらくコロナの影響を受けなかったであろう状況と比べると、学校(部活動)で楽器を吹く時間は明らかに少ないようでした。 小学生まではスポーツに夢中で、吹奏楽部に入部するまで音楽をやっていなかったため、他の吹奏楽部員と比べると楽譜を読むのは苦手で、また、どちらかというと大人しい性格のため、フルートの音量も小さく…技術の進歩は遅々としていました。
克服に向けて
当教室は、大手の音楽教室とは異なり、マニュアルは一つもありません。生徒さんは十人十色、性格も技術も置かれている状況も生徒ごとに異なります。なので、一人一人の生徒にとって音楽を楽しんでいただくために、そして、音楽の“本質的な部分”に向き合っていただくために、その生徒にとっての最善の取り組みを真剣に考え、模索しました。
今回は、中学生になるまで音楽に触れてこなかった遅れを取り戻すために、小手先のスキルの習得を磨くことを最優先にするのではなく、音楽の基礎から見直して取り組みました。この生徒にとっては『急がば回れ』が一番の接し方だと考えました。
例えば、リズムを読むトレーニングをしたり、アンサンブルをしながらハーモニーに耳を傾けてもらったり、ピアノ伴奏に合わせて簡単なメロディーをアレンジしたり…学校での部活動ではあまり練習できていなくても、当教室でのレッスンでは音楽を楽しむ時間にしてもらいたいと、セッション性を重視しました。楽しみながら、基礎・聴力・リズムを身につけていただく手法を取り入れることにしたのです。上手くできるかどうかではなく、音楽に色んな可能性があることを感じてもらうことを重要視しました。また、「ここはどんな気持ちになるかな?」「どんな風に吹きたい?」など、小学生の時に大好きだったスポーツの感覚にも当てはめて(逆にスポーツは私の苦手分野ですので)「ここはエネルギーを込めたい?」「ここは流れに乗る感じ?」などと問いかけながら、音楽に向き合ってもらいました。ただ楽譜通りに演奏するのでなく、音楽から自分が何を感じるのか?どんなイメージが広がるのか?…言葉にすることも自己表現に繋がります。そんなプロセスの中で、自分なりに音楽を楽しんでもらえたら…という気持ちでレッスンを続けました。
成長・はばたき
親御さんは、小学生の時は天真爛漫で何にでも積極的だったのに、中学生になって両親にもあまり自分のことを話さなくなり、何を考えているのかよくわからない…と心配されていました。確かに、ペチャクチャお喋りするタイプではないものの、レッスンの最後には「あ、先生…」と、淡々とではありましたが、部活や学校生活についてその時々の気持ちを話してくれていました。私は、この生徒は自信がつけば、きっとのびのびと個性を発揮してくれるような気がしていました。
コロナ禍に翻弄され、吹奏楽部で大きな経験となるステージに立つ機会が少なかったこともあり、本番での経験不足は否めませんでした。当教室主催の発表会でさえ、不運にも前日に緊急事態宣言が発令されてしまい、ホールが使えないという有り様…本番での発表会に向け頑張って練習をしてきたのに、本当に可哀想でした。
けれど中学3年生になり、本人から「音楽系の高校への進学を考えはじめた」という相談を受けました。それくらい音楽への思いが強まっていたことを、私はとても嬉しく思いました。音楽への想いが、彼の中でエネルギーとして花開こうとしているように感じたので、「ソロコンクールにも挑戦してみたら?」と本人に勧めてみたところ、「出てみようと思います!」と。
これまでコロナ禍に翻弄され、部活のコンクール等が中止に追い込まれたり、発表会が中止になったり、多くの希望がコロナという時代に潰されてきた中で、今回のソロコンサートは本人のやる気スイッチを確実に入れました!私にもそのスイッチ音が聞こえた感じがしたぐらいです。
親御さんにとっては、積極的ではない本人の性格も含めて、色々な不安要素を抱えていらっしゃるようでした。確かに、楽譜を読む力もまだまだ弱く、音も消極的すぎる…という状況。
けれども「ここで大きな挑戦を決めた本人の力を信じてあげましょう!」とお母さんともお話し、サポートを誓っていただきました。それまで月2回程度だったレッスンは月3~4回に増え、少しずつ本人にも気合いが入ってきました。
さすがに人生において初めてのソロコンクールに少し怖気づいてしまう状況でしたが、審査員の先生方から「優しく美しい音色」と褒めていただけました。音楽的な表現力やダイナミックスはまだまだ足りませんが、彼の心模様は原石としてきちんと“音”に表れているのだと感じました。
ソロコンクールは、本人にとって、とても大きな経験になったようです。少しずつ、音にエネルギーが宿ってきて、難しい曲にもチャレンジする意欲が出てきました。そして、そんな本人の努力も実り、見事、志望校の私立高校の音楽コースに合格!
「高校に入ったらピアノやソルフェージュのレッスンもあるようだけど、それまでに少しピアノもやってみる?」と提案したら、「やってみたい!」と。(お母さんから、「以前にもピアノを習ってみたいと言っていたので、ピアノも楽しみにしているようです」と聞きました)
家にはキーボードしかなかったそうですが、最近、お母さんのご実家からピアノが運ばれたようです。「難しい」と言いながら、少しずつピアノにもチャレンジしています。 もうじき、彼の無限の可能性に満ちた高校生活が始まります。先日、(入学前ではありますが)高校の部活のコンサートに参加させてもらえたそうで、「先輩方の演奏がとても上手くて、吹いていてとても楽しかった。早く高校に行きたいです!」とのこと…そのワクワク感に、こちらも嬉しくなりました。充実した高校3年間を満喫してくれることを願ってやみません。
お悩み・不安など、お気軽にご相談ください
当教室は個人で運営する街の小さな音楽教室です。そんな小さな音楽教室だからこそ、大手の音楽教室のような、決まったマニュアルやカリキュラムもありません。当教室の特徴は、生徒ひとりひとりと個別に向き合い、生徒の個性・特徴・ゴール(当教室に求める期待値)に合わせたレッスンをおこなうことです。